「例えば歴史、伝説上の英雄が一堂に会し、刃を交えたらどうなるのだろう？」　

　1960年代。史実と妄想が交錯する、少し厨二チックながらもわくわくせずにはいられない、そんな世界観が織り成す伝奇小説、「魔界転生」が山田風太郎氏によって世に送り出されました。

　彼の最高傑作ともいわれる本作は映画、漫画、舞台化され、その後のエンターテイメントシーンに多大なる影響を及ぼしました。

　そんな魔界転生が蒔いた幻想の種は時を超えて２０００年代、一人の天才的シナリオライターによって実を結ぶことになります。

　奈須きのこ氏はこの魔界転生をはじめ、その他の様々な優れた作品にインスピレーションや着想を得て誕生したのがこのFateであり、自身の原点でもあると言及しています。

　彼の幻想世界を具現化すべく、有志とTYPE-MOONを設立してからのその後の快進撃にもはや説明の必要などは無く、そのイマジネーションから発露する独自の世界観は現在のコスプレ界のみならず、業界全体を牽引しているといっても過言ではなく、最も注目が集まる作品群となっていることは間違いないでしょう。

　コスを念頭においてFGOをみた時、主にコスの対象となるであろう英霊（サーヴァント）はそもそもどのキャラも非常に魅力的に映ります。だって英雄なんだもん。

　そして作品の素地自体が前述の妄想が主体であることから、その世界を構成する陣容は例えば皇帝、妖精、ファラオ、女神、侍などもうやりたい放題。

　国境を超え時空を超え、あまつさえ人間界すらも飛び越えて生成されたその世界観は限りなく広く、またオンゲーである為にアップデートなどにより更にその世界は容易に広がっていく点は、コスの題材としては最良の部類といっていいかもしれません。

　作品の認知度・人気度は共に高く衣装の流通量も申し分なし。
　初心者から、自作でとことんこだわりたい上級者まで幅広い層が参入しやすいことも良点でしょう。

　大きな欠点は見当たらないFGOコス。

　あえての難点を挙げるとすれば、人気作であるが故に表現については既にあらかた消費されており、英雄、著名な存在であるキャラのコスは少々類型的になりがちになってしまう所でしょうか。

　それでもレイヤー個々の解釈、表現の個性を加える事によりあなたのコスは更に輝きを増すはずです。

　無限の可能性を魅せるFGO。総合評価は当然の4.6点となります。